2025年12月、エチオピアの南部「イルガチェフェ」と「グジ」を訪れた。
地球上でコーヒーのためにあった場所
首都のアディスアベバを出発して車でやく6時間。
途中アワッサというきれいな湖のリゾートのような場所を経て、たどり着いたのは南部の「イルガチェフェ」と「グジ」。
青い空。暖かい日差しと気持ちいい風、標高は2300mほど。
着いた早々に地球上でここがコーヒーのためにもともと存在していた場所なんだと感じる。

特にこのイルガチェフェは水が豊富だと感じた。
来る途中も川が流れその横ではバスやトラック、何台もの車が停まっていて洗車していたり、飛び込んで遊んでいる子供たちがいたりしている光景があった。
コーヒーの生産処理場でも山からの水を引き、大きな水槽に溜めていたりしている。
コーヒーの水洗処理も惜しみなくその水を使用している。
アフリカンベッドに並んだウォッシュトプロセスのコーヒーはキラキラ輝いていてとてもきれいだ。

伝統や文化としての技術
訪れたのは単一農園ではなく、近隣の小規模生産者さんたちのチェリーが集められた生産処理場だ。
そこにはアフリカンベッドと呼ばれるものの原型があったり、最新の技術として行なっている水洗や乾燥などの作業ではなく、昔ながらの伝統としての作業風景があった。
ウォッシュトプロセスとその後の処理については、さすがの印象だった。ただの工業的な技術としてではなく伝統や文化としての技術だ。

アメリカや日本などのコーヒー消費国から依頼されて作っていたアナエロビックやインフューズドなどのプロセスでは作業の曖昧なところが多く、日本に届いた際にロットによるバラつきがよくあることが実際に作業を見たことで理解できた。

カリオモン
エチオピアには日本の茶道のように女性がコーヒーを淹れてお客様をおもてなしする習慣がある。
「カリオモン」は一緒に楽しむという意味を持ち、コーヒーセレモニーとも呼ばれている。
まず、お客様が来たら床に花を敷き、お香を焚いて、コーヒーカップを用意する。

鍋でコーヒー豆を煎って香りを楽しみ、焙煎が終わったらすりつぶす。
ポットに水とすりつぶしたコーヒーを入れて沸かして抽出する。

そのまま飲んだり、砂糖やカルダモン、塩などを淹れて飲む。
エチオピアではホテルや農園でも、行く先々でコーヒーセレモニーでおもてなしを受ける。

伝統と最新と
エチオピアはアフリカの中で唯一植民地にならずに国を守り抜いた国でもある。
茶道のようなコーヒーセレモニーが文化として今でも日常にあることからも、伝統とプライドが感じられる。

エチオピアではスペシャルティコーヒーとしての発展がゆっくりで、長く国自体の仕組みもあって生産地域は特定されても生産者や生産処理場に焦点が当たることはなかった。しかし、ここ10年ほどでダイレクトトレードが行われるようになり、2020年にはCOE(カップオブエクセレンス)が初めて開催された。

以来、コーヒーが急速にビジネスとしてのスペシャルティコーヒーに変わりつつあるのが現状だ。
現地で暮らす人々にとってはビジネスとして発展していくことが、豊かな未来につながることなのかもしれない。
収穫ごとに変化するエチオピアのコーヒーはこの先どこに向かっていくのだろうか。

初めてエチオピアを訪れた僕はコーヒーが地球でできていることを感じた。
青い大きな空、暖かい日差しと心地よい風、水が流れる川の音。
そこから生まれるコーヒーをいつまでも飲み続けたい。

Yoshi
Sproutのオーナー
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