自宅の小さなガレージを工房に、着物生地を活かした作品を中心にステンドグラスの作品を製作している藤井さんによる「和とステンド展」が開催されました。
もるげんろーと
藤井さんは1947年にせたな町に生まれ、青森や東京などで育ち、長年和装の仕事に従事されてました。
山とスキーを愛し、1981年にニセコひらふに移住し、学生時代に青春を過ごした長野県・霧ヶ峰のような山小屋を、と「もるげんろーと」というヒュッテを始めました。

「もるげんろーと」はたくさんの絵本に囲まれ、スキー客や登山客、宿を手伝う大学生などで賑わっていました。
地域や社会についての勉強会や意見交換会も開けれていたり、JAZZライブが開催されていたり、リゾートにある宿というよりも地域の文化的な場所といった印象がありました。

地域社会を考える場
宿を閉めてからも街の絵本館で読書会を開催されたり、子供の教育や地域の問題に住民を集めて意見交換会を行ったり、いつも精力的に活動を続けており、SPROUTもたいへんお世話になっています。

いつもさまざまなジャンルの本を紹介してくださったり、古くてたいへん貴重な山の本やスキーの本、地域に関わる本をお預かりしています。
また、藤井さんとお話ししていると山への愛情がひしひしと感じます。
登った山の話やスキーの話、道具の話、本の話をするとあっという間に時間が経ってしまいます。

山や本の話は人の話
いつもお話をさせていただく中でとても印象に残っているのは、仲間たちのことです。
お話を聞いていると、宿を切り盛りする中、山やスキーに出かけたり、本を読んだり、JAZZを楽しんでいる、その時はいつも仲間たちに囲まれていたんだということが想像できます。
どんな時でも仲間がいて、お互いに刺激し合って歩んできのだと感じます。

今は会わなくてもコミュニケーションがとれたり、同じ空間、同じ時間を過ごさなくても体験を共有できてしまう時代です。
しかし、そこには便利なものとは引き換えに「人」という大切なものが欠けている気もします。

モノから人を感じることを大切に
藤井さんのステンドグラスの作品は古い和柄の生地を使用したりしながら、ひとつひとつ作った世界にひとつの作品です。山やスキーなどニセコの自然が表現されていたり、子供が好きな乗り物や恐竜の形のものがあったり、「もるげんろーと」を思い出させてもらえるような作品です。

古いものがなくなり、新しいものができ、不便なものは取り残され、便利なものが前に出る。
そんな時代の流れとは逆をいっているのかもしれませんが、あらためて人を感じる物語を大切にしていきたいと感じました。


Yoshi
Sproutのオーナー