秋のCamp&Go White Wall Roomはイベント盛りだくさん。
山と道のULハイキングワークショップが開催されたのを皮切りに、100%自然素材の服「うさと」の展示販売会、。正規の芸術教育を受けていない人が生み出すアートのことで、アウトサイダー・アートとも呼ばれている「アール・ブリュット展」。地域の特徴を学びながらULハイキングを実践する「Local Study Hiking」。札幌からお花屋さんがリースなどのワークショップを行う「Flower Little Work Shop」、脂質代謝による運動効率の向上「Fat Adaptation測定&講習会」、アメリカ三大トレイル踏破の清田マサルさんの「LONG TRAIL」と、白い壁だけの部屋はアウトドアやアート、お店、スポーツ、旅、とさまざまな色に染まっていた。

White Wall RoomはCamp&Goのコンセプトを象徴する空間だと思っている。
自分の特技を思いっきり発揮して、人に伝える、楽しんでもらう、喜んでもらう。
これはとてもシンプルで素晴らしいことで、当たり前のようだけど、実際はさまざまな壁が現れてなかなか実行できるものではないと思う。何よりも自分の好きなことを全力で思いっきり誰かに伝えるというのは、実はとてもパワーが必要で勇気がいることなんだと思う。

僕は現在、コーヒーの奥深い魅力に加え、山で走ったり歩いたり、旅をしたりすることも好きなので、純粋にその楽しさを伝えたいと思っている。山と道HLC北海道で活動させていただいているのも、その理由が一番にある。

その活動の一つとして、10月16日から17日で地域の山岳ガイド古市竜太さんを講師に迎えLocal Study Hikingというプログラムを開催した。
実際に1泊2日のハイキングをしながらニセコの山を地形や植生、水の流れから学ぶ。普段走ったり歩いたりして何気なく見ている景色も、ひとつひとつ特徴や歴史を観察しながら歩くと、見えてくる景色も変わる。山の形をつくる地形や景色をつくる目の前の植物をゆっくり見ながら歩くことで山により愛着が湧いてくる。大きな景色も小さなものの集まりなのだと気づく。

この2日間のハイキングでは、天候が悪化し、夕方から雨が降り、夜にはみぞれになった。そして朝、目が覚めてテントから外を見ると、目の前に広がっていたのは真っ白な雪。目を疑うような景色が広がっていた。普段テントで寝ることなんて滅多になかったり、また今回のテント泊が生まれて初めてのテント泊だという参加者の皆さんにとって、寒いみぞれ交じりの湿った雪が降る中で一夜を明かすことは恐怖を感じたかもしれない。道路も通行止めになり、予定していた山へも行けずに山麓の遊歩道を歩くことに変更もせざるを得なかった。

プログラムが終わり、参加者は口を揃えたかのように「楽しかった」、「またやりたい」ということを言っていた。それは、悪条件でプログラムが計画通りにいかなくても、根本にあるガイドという行為自体を、堂々と楽しんでいたガイドの古市さんの姿が大きかったのだと思う。目の前にいる人が自分の行為に誇りを持って楽しんでいたら、誰だって楽しくなってしまうんじゃないか。

これから何かをやろうとするとき、またやりはじめたとき、はじめは小さな好奇心から始まり、やりたいことに溢れるが、それが前へ進んでいくとやらなければいけないことやできない理由などさまざまな壁が出てくるものだ。それは自分が心から楽しんでいるのか、本当に好きなのかを試されているのかもしれない。言い換えると、もっともっと深く好きになっているということかもしれない。もしそれが確かなものだとしたら、目の前に現れる壁をもきっと楽しめるはずだ。
Camp&GoのWhite Wall Roomはそんな自分の気持ちを試させてもらえる場所でもある。それは訪れるだけではなく、迎え入れる側にとっても大切な場所なのだ。