見渡す限りの青空。
何もかもがエネルギーに満ち溢れた雰囲気。
移動中の道ではヒトも車も牛も馬も同じ道を利用し、誰もが同じ目線で時間も場所も含めて世界を共有しているようにみえる。
僕が生まれて初めて足を踏んだアフリカ大陸。最初の印象はそんな印象だった。

すべての起源
訪れた国はエチオピア。
成田空港からエチオピア航空で首都のアディスアベバまで。直行便なのだが途中で韓国の仁川に寄って、一度降り、再び搭乗して同じ席に座って出発する。移動時間はトータルで17時間ほど。
仁川には立ち寄るが、乗り換えではないので、エチオピアは思っていたよりも近くに感じた。
首都はアディスアベバ、主に使われている言語はアムハラ語。通貨はエチオピアブル。宗教はエチオピア正教が特徴的だ。

エチオピアは世界最古の王国のひとつで、ヨーロッパ植民地勢力に屈せずアフリカで独立を守った国。
初めての二足歩行の人類とされる‘ルーシー’が発見された場所でもあり、アフリカの高度な文明を形成したブルーナイルの源流も有し、そして、南西部の‘カファ地方’の名から由来するといわれるコーヒー発祥の地でもある。
すべてのものの起源とされるエチオピア。
それは空港から降り立った瞬間。自分の足で大地を踏んだ瞬間から、その空気を感じた。

イルガチェフェ
コーヒーが好きな人なら一度は聞いたことがあるかもしれない。
僕も初めてスペシャルティコーヒーを飲んで衝撃を受けたのは「エチオピア・イルガチェフェ」という名前のついたコーヒーだった。
レモンのようなジャスミンのような華やかな印象で、明るく、冷めるとハチミツのような甘さとなって余韻が残る。
首都のアディス・アベバから車で移動して5時間ほど。
イルガチェフェ地方のゲデブとグジ地方のバンティネンカの農園と生産処理場を訪れた。

車から降りるなり、作業中のみんなが物珍しそうに見る。
最初はなかなかコミュニケーションが取れず距離が開いていたが、一緒に作業に加わってみたり、写真を撮ったりしていると少しずつ距離も縮まってきた。一旦親しくなると次第に向こうから近づいてきてはたくさん話してくれる。
ありのままの、人として素直なままの反応なのだと感じた。

自分らしさの枠
これはエチオピアだけでなく、他のコーヒーの生産国や異文化の場所に行っても感じることだが、距離が近づくときは自分が相手に染まっているときだということに気がつく。
日本人だということを忘れていたり、普段自分が生活している場所での自分らしさから飛び出して、相手の言葉を話したり、相手の暮らしの風習に習っていたりしている。
そんなとき、自分が知らなかった自分に出合うこともある。そしたら普段の自分らしさというものは、そもそも存在しないのだと思う。

エチオピアに来ると、自分らしさというものがなくなり、その上、馬や牛やヤギたちも一緒に生活しているので、自分が人なのか馬なのか牛かヤギかすらわからなくなった。そもそも、生き物という中でそんな区別すらもともとなかったのかもしれない。

起源はコーヒーに
あらゆるものの起源となるエチオピアに初めて訪れて、この国は笑顔や暮らしも含めて、自分たちそのものの起源があるように感じた。
エチオピアに伝わるカルディの民話では、赤い熟した実を食べたヤギが元気に踊り出したことがコーヒーのはじまりとされている。

赤い実を食べたのは本当にヤギだったのか、それとも人だったのかはわからない。
エチオピアで出会った人たちの笑顔やありのままの素直な反応、目の前のことに取り組む暮らし、すべてにおいて自分たちの起源なのだ。
そして、そのありのままのエチオピアの印象は、そのままコーヒーの味にも表れている。
僕のエチオピアの短い旅がはじまった。

Yoshi
Sproutのオーナー
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