9月24日から27日で東京ビッグサイトで開催されたSCAJ2025のCoffee VillageにSPROUTが出店させていただきました。
なぜ出店したのか
出店料に加え、北海道からの移動費や商品を送る送料などといった経費もかかり、さらにコーヒーに関する大会でいい成績を収めたわけでもない、目新しい商品を発表するわけでもない、北海道の山に囲まれたニセコ・倶知安のコーヒーショップがなぜアジア最大のコーヒーの祭典といわれる、東京ビッグサイトという大会場のSCAJに出店したのか。

ニセコは山に囲まれた小さな街といっても冬のシーズンはパウダースノーを求めて世界中から人が集まるところです。冬の間はたくさんのお客様にコーヒーを楽しんでいただいてます。毎日毎日がありがたいことに忙しく過ぎていきますが、ふとした瞬間に裸の王様になっているのではないか?という思いがよぎることがあります。
たくさんの方が世界中から訪れ、おいしいと言ってくれているけれど、それはどういう視点で言ってくれているのか?パウダースノーやNISEKOというネームバリューがなかったらSPROUTにコーヒーを飲みにくるだろうか?
それでは一体SPROUTはどういうコーヒーショップなのか、SPROUTのアイデンティとは何かを確認する必要があるのではないかと思い、SCAJのCoffee Villageでの出店を決めました。

大東京
実際の出店は9月24日から27日までの4日間でしたが、期間中はいつもお世話になっているお取引さまへのあいさつまわり、生産地主催のカッピング、商談など展示会も兼ねているので大忙しでした。その中でも一般のお客様や開業予定やカフェ経営・スタッフの自家焙煎の方々も来場していてCoffee Villageはそう言った方々で賑わっていました。
他店舗のディスプレイや提案の仕方など参考になるところもたくさんあり勉強になりました。

出店しているお店はどのお店もディスプレイやグッズなど、さまざまな工夫がされており、おしゃれで目を引くお店もたくさんありました。
さらには、おいしいコーヒーもたくさん。めずらしいコーヒーもたくさん。
おいしいコーヒー、めずらしいコーヒーというのが当たり前のようにあって、何がおいしくて何がめずらしいのかわからないような状況でしたが、どれもこれもがおもしろく、コーヒー好きには感情が抑えられないくらい嬉しいイベントで、スペシャルティコーヒーの盛り上がりを痛感しました。

ゆっくりとした時間を迎えて
東京からニセコに戻り、慌ただしい業務がありながらも日常のゆっくりとした時間が戻ってきました。
振り返ってみると、SCAJのCoffee Villageに出店したことはとてもいい時間だったように思います。
これまでは新しいコーヒー事情のリサーチやマシンを導入するの際のチェック、焙煎の競技会、商談、コーヒー生産者さんとの会合など、毎年目的があって必ず訪れていたSCAJですが、出店してみると目的を持って訪れるのとは全く違った予想もしないような出会いや再会もあったり、SPROUTを創業してからこれまで関わってきた方々がお店のブースに来てくれたり、目的以上のものを得ることができるといった気づきがありました。

今年の2月と3月に実際に訪れたグアテマラとコスタリカから、エルウィンさんが作ったCOEで2位に輝いたウエウエテナンゴのPlan de La Vegaや、ファンラモンさんが携わるブルマスのイエローハニーやプーラヴィーダのジューシーナチュラルといったコーヒーを提供させていただいている最中に、実際にグアテマラの生産者さんからメッセージがあったり、コスタリカの生産者ファンラモンさんがブースに遊びに来てくれたり、エスプレッソマシンメーカーのFAEMAのパフォーマンスをする際にもサプライズ登場してくれたり。夢にも思ってなかったような嬉しいこともたくさんありました。

コーヒーを通して何が伝えたいのか
では、おいしいコーヒー、めずらしいコーヒーが当たり前のようにある中、SPROUTのコーヒーはなんだろうと考えた時に、やはり「人」なんだということを今回の出店で再認識することができました。
おいしいコーヒーはある。めずらしいコーヒーもある。デザインも素晴らしい。でもそれだけではSPROUTではなく、SPROUTにはそこに「人」がいる。
コーヒーの生産者さん、デザインしてくれている人、ニセコでお店を支えてくれている人、一生懸命に会場で声掛けしている人。そしてそこに訪れてくれる人、たくさんのご縁をつないでくれる人。コーヒーを通して人の物語があることがSPROUTのもつアイデンティティだと感じました。

コーヒーを携えての冒険はまだまだ始まったばかりです。
コーヒーがあることで、人は出会い、世界が広がり、暮らしが豊かになる。
コーヒーはただ飲んで終わるものではない。その後に続く物語を伝え、誰かに返していくことで、新しい物語が生まれる。
そうして物語は巡り、循環し、世界がより良くなると信じています。


Yoshi
Sproutのオーナー
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