2021年の中頃からコーヒーの諸先輩方からありがたい機会をいただき、COEに参加させていただいております。
2021年にグアテマラで開催されたCOE(Cup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス))で90.3点の高得点を出し、第3位に輝いたグアテマラ・ロスマ ゲイシャのコーヒー豆を共同落札することができ、少量ですが販売させていただいてます。
カップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence=COE)とは直訳すると「最高のコーヒー」です。その名前の通り、その年に収穫されたコーヒー豆の中から最高のものを選ぶコンテストです。
美味しいコーヒー豆を決めるコンテストはいくつもありますが、その中でもこのCOEは最も意味のあるものとされています。この大会は現在アライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス(ACE)というNPO法人によって運営されています。
実際にCOEに選ばれるコーヒー豆は全生産の中でも数%だけであり、この賞を取ることはそのコーヒー豆が世界の中でもトップクラスに入る品質の高さであることを証明します。
ファーストウェーブの跡
1960年代にコーヒーの消費がピークを迎え、大量消費・大量生産の時代が訪れ、価格競争が始まりました。また、当時はスペシャルティコーヒーというものもなく、コーヒーの品質やコーヒーの生産地によるユニークさが現在ほど注目されることはありませんでした。
品質は下がり、美味しいコーヒーが世間からなくなり、コーヒーは不健康な飲料とされ、生産地では低賃金で重労働、モチベーションの低下が広がりました。大量消費・大量生産が求められるとなると、大規模なコーヒー農園のみが有利になり、小規模なコーヒー農園は窮地に立たされました。
スペシャルティ・コーヒーの誕生
1970年代に入ると、peets coffee、Starbucks、Seattle’s Bestといったそれまでのコーヒーのイメージを払拭する新しいスタイルが出始めました。そこで「美味しいコーヒー」という概念が見直され、生産地との連携が大切だいうことに焦点が注目されました。
1978年には「特別な気象・地理的条件が特別な風味を有するコーヒーを生む」という「スペシャルティ・コーヒー」という概念が誕生し、1982年にはアメリカでSCAA(Specialty Coffee Association of America)が誕生、1991年にはコーヒーの生産国であるブラジルにBSCA(Brazil Specialty Coffee Association)が誕生しました。
最貧国救済のための国連プロジェクトの一環としてはじまったCOE
COEにとって大きな出来事となったのが1997年の「ITCグルメコーヒープロジェクト」。
「ITCグルメコーヒープロジェクト」とはITC(国連)の基金とICO(国際コーヒー機構)の協力のもと生産国が、味と香りと後口の甘さのある高品質なコーヒーを生産するため、その土地に合ったコーヒーを栽培し、生産方法を開発し、発展途上生産国の経済的自立を促進するために進められた特別な国際プロジェクトのことです。
そのITCグルメコーヒープロジェクトの一環として、1999年にブラジルでスペシャルティコーヒーを世界に向けて公開オークションにかけるという「Best of Brazil」が開催され、当時の相場で倍以上の最高価格で落札されました。これが、のちのCOE(Cup of Exellence)となります。
COEによって生産者の意識改革も生まれた
当時は生産したコーヒー豆をオークションにかけることに対して「クレイジー」だと言っていた生産者も今では積極的に関わるようになってきています。
その理由は入賞すると認めてもらえること。壇上で表彰され、農業大臣や大統領が握手を求め、祝福してくれる。また、オークションで高値で落札されると、お金が入り、そのお金をより良い品質のコーヒーを生産するための開発や教育、インフラの整備に当てることができます。
そして、現在では世界中のコーヒー愛好家がCOEで受賞されたコーヒーを飲みたいと考えており、受賞したコーヒー生産者の名前が買い手側にも広がり、COEに関わることの価値や意義が生産者にも浸透してきているのです。
COEのコーヒー豆を販売するということ
COEはスペシャルティコーヒーの中でも、特に質の高いコーヒー豆が集う品評会。そこで評価を得られれば、生産者にとって継続的な農園の運営や生活環境の改善に繋がります。
しかし現代においても、全てのコーヒー豆が良い品質で正当に取引されているとはいえないのが現状です。生活に困窮した生産者が、経済が入ることでコミュニティのバランスが崩れて信用問題が生じたり、アンフェアな取引でなかなか生活が改善されなかったり、そういった理由で、コーヒーの品質が下がってしまったり、コーヒー豆の生産を辞めてしまう農家さんもいまだに多くあります。
そういった中で私たちのようなコーヒー愛好家が消費する立場からできることは、ひとつ。
「美味しいコーヒーを飲むこと」
そんなシンプルなことが透明性のある高品質なコーヒーと、継続可能なコーヒー産業を支えることにつながるのかもしれません。
Yoshi
Sproutのオーナー
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