満月の夜

満月の夜の山の中、スキーをはいて歩く。
あらゆる音が雪に吸収されて静寂に包まれる。
ヘッドライトを消して月明かりで登る。
見晴らしのいいところまで登ってふと振り返ると月明かりで照らされたニセコの山々が神々しく見える。

滑り出すまでわからない

雪のコンディションを確認しながら滑り出す。
コース整備されたスキー場のゲレンデとは違って山の雪は気温や湿度、降雪、日照などあらゆる条件によってコンデションが変わる。軽くて走るパウダースノーなのか、下地は硬くて踏ん張れるのか、それとも重くて突っかかってしまう雪なのか。

スキーをしながら焙煎のことに気がつく

そんな雪のコンディションを確認しながら滑り出し、何回かターンを刻むとこの感覚はコーヒーを焙煎しているときに感じていることと同じことだとふと思う。
外や室内の天気や気温、湿度、風、コーヒーの生豆自体の温度などといったコンディションを確認しながら、最初の1バッチ目を焙煎する。火力や排気を調整し、色や匂いや音を感じ取る。

「その時」の状況に合わせていく

焙煎は焙煎する人が味を決めるのではなく、コーヒー豆がどういう特徴を持っていて、その特徴を最大限に引き出す作業だと考える。
そう考えると、スキーも山の地形や雪質、スキーの性能にいかに合わせて滑っていくか。
どちらもその時その時の状況にいかに合わせていくかということ。

スキーをしながら焙煎し、焙煎しながらスキーをする

コーヒーもスキーもどちらも課題だらけ。
その時の状況に合わせるということはすごく難しいことだ。自然にうまくいくときもあれば、がんばらないといけない時もある。同じ時は一度もない。
だから飽きずにずっと続けられるのだろう。
こんな学びを与えてくれるコーヒーとスキーをこれからも大切にしていきたい。