9月16日-17日-18日と、日本を代表するトレイルランニングレースである「信越五岳トレイルランニングレース」に参加しました。

信越五岳トレイルランニングレース

信越五岳トレイルランニングレースは新潟県と長野県にまたがる斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山の独立峰を1本のトレイルで繋ぎ、2009年にはじまったレースで、その走りやすいトレイル、エイドステーションやスタート前、ゴール後に感じられる地域の方々とその土地の魅力、家族や友人など走る人も走らない人も楽しめる演出、そういったさまざまな魅力が詰まった日本で最も人気のあるレースです。
2019年からはこれまでの110kmのクラスに加え、100mile(160km)のクラスもスタートし、より多くの人から人気を集めるレースとなっています。

今回僕は100mileのクラスにエントリーし、32時間36分で完走することができました。
スタート前はどうなってしまうのか不安で怖くて逃げ出したくなるような緊張感。
それもスタートしてしまえばスイッチが切り替わりました。
もうダメだと思ってからの諦めない気持ち、さまざまなネガティブなことをポジティブに楽しむ気持ち。たくさんの気づきがありました。
決して速いタイムではありませんが、完走できた達成感と喜びは大きなものでした。

失敗を経験してからのチャレンジ

100mileのレースにチャレンジしたのは初めてではなく2度目です。
最初のチャレンジは5月に埼玉県で行われた’トレニックワールド100mile in 彩の国’。その時は北海道の雪の季節からの参加による暑さへの順応ができず、水分補給やエネルギー補給もうまくいかずに過度の脱水になり、またトレーニング不足もあり、54.8kmの地点でリタイヤしました。
初めての100mileで、これまで参加してきたウルトラレースとの違い、補給やドロップバックなどの準備などを学ことができました。

準備にも工夫が必要

この夏は100mileを完走するという目標を持って過ごしました。100mileを走り切るためには早く走るというよりも長い時間動き続けられたり、眠くなった時や限界がきた時にどういった対応ができるかを知ることが大切です。とはいっても仕事や日々のやることに追われ大きな時間を割くことはできません。限られた時間の中で効率よく、楽しく力をつけていくよう努めました。
ランニング仲間が企画したNISEKO LOOP24時間耐久や夜通し山の中を走り続たり、疲労を残した状態で走るために数日間休みを入れずに長い距離を走ったり、夜中にコーヒーの焙煎をすることも大きな経験値のひとつです。

100mileという距離

100mileという距離は他のウルトラマラソンとは単純に距離だけの違いではない難しさがありました。完走するまでに良い時悪い時、気持ちの良い時苦しい時、何度も波がやってきてたくさんのドラマがありました。そしてまたレースというのはスタートラインに並ぶ前からはじまっていて、スタートラインに立つまでにどんな準備をしてどんなトレーニングをして、どういった時間を過ごしてきたのかということが大切になります。
それはどんなことに対しても当てはまることです。美味しいコーヒーを提供する、楽しいお店をつくる、大きなことも小さなことも、何かを成し遂げるためには、それまでに過ごしてきた過程が大事な気がします。

乗り越えるのではなく受け入れる

32時間という時間を動き続けて多くの気づきがありました。
フルマラソンや100kmなどのウルトラマラソンなど、どんな時も必ず辛い時ややめたくなる時がやってきます。100kmまでは辛くなった時はそれを乗り越えるとゴールが見えてきます。
しかし100mileになると、辛くなった時に乗り越えても残りの距離がまだまだ残っていて完全に心が折られてしまします。
100mileでは乗り越えるのではなく、受け入れるということが大切になのだということに気づきました。どんな状況にあっても必ず波があっていい時が必ずやってきます。辛い時、ダメな時に無理に意気込むのではなく、辛い自分、ダメな自分を受け入れて、良くなる時をひたすら待つ。機を待つことが大切です。そして良い波が来きた時にしっかりとそのチャンスを逃さないように力を発揮できるようにします。

自然に、コーヒーに返せること

僕は自然の中で思いっきり遊び、美味しいコーヒーを追求することを通してたくさんの人に出会い、たくさんの感動する瞬間に出合うことができています。
100mileを走っている最中は「自然に対して、コーヒーに対して、自分はどうやって返していけるのだろうか」という言葉が頭の中でひたすらグルグル回っていました。
100mile走った先にその答えがあるのかもしれないと思いましたが、結局その答えは出ませんでした。それはこれからの自分がどういった時間を過ごすのかということの先にある気がします。
自然の中で遊ぶことの楽しさを追求し、伝えていくこと。
コーヒーに対してひとつひとつ丁寧に取り組んでいくこと。
そしてどちらも大切な柱となっているお店、SPROUTをもっともっと楽しくしていくこと。
これからもやってることは大きく変わらないかもしれないけれど、一日一日の過ごし方が大きなことへとつながっていくということを学ばせてもらえました。

大きなチャレンジをさせてくれた家族やスタッフのみんな、一緒に遊んでくれる仲間たちには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
そして素晴らしいレースを開催していただいた運営側のみなさんや関係者のみなさんにも感動と力をもらえました。ありがとうございました。