SPROUTでは月に一度、「スピーカーキャンプ」という名のイベントを開催してます。
旅の話やスポーツの話、大会やレースの報告会、身体の健康を考える会、自然や地域の環境について学ぶ会、さまざまなジャンルのワークショップも。
コーヒーやお酒を飲みながら楽しいことを自由に話すお茶会のようなふれあいの集いです。
12月は、秋に発売されたランニング雑誌Like the Wind Magazine日本版の発行人であり、数々の心躍る本を出版する木星社の代表、藤代きよさんをお招きし、トークイベントを開催します。
Like the Wind
2014年にイギリスで創刊されたランニングの雑誌「Like the Wind」。イギリス出身のランニング仲間からSPROUTに寄贈され、デザインやイラスト、写真も好きで頻繁に読み眺めていました。
それまでランニングやレースは一部の鍛え抜かれたアスリートがやるものだと思っていた自分には衝撃的でした。一般の人が趣味というよりも暮らしとしてランニングをし、そこに登場する人たちの仕事や家庭、趣味などの暮らしがとても充実しているように感じました。
以来、自分の暮らしの中に自然とランニングが入り、仕事も家庭も、山も川も、スキーもカヤックも、全てのことが繋がっているということを感じはじめました。
2024年10月。Like the Windの日本語版が発行されました。英語以外での翻訳版は初めてとなるそうで、また新たな扉が開くことは確実で、思いもよらぬ知らせに胸が高鳴りました。
そしてトークでは、Like the Windに掲載されているストーリーや出版にまつわるお話などを直に聞くことができ、とても貴重な体験でした。トップアスリートも一般の市民ランナーも、住んでいる場所やコミュニティ、家庭など、当たり前ですがそれぞれに背景があり、そんな背景があるからランニングに感動が生まれるのだということが伝わりました。
同じ場所、同じ距離でもそれぞれにドラマがあり、ふたつとして同じランニングはないのだということ。
改めてLike the Windに書かれているストーリーを読んでみたいと思いました。
心躍る本を出版する「木星社」
ゲストスピーカーの藤代きよさんが代表を務める出版社「木星社」。Like the Windをはじめ、旅や自然、スポーツをテーマに、小説や紀行、ドキュメンタリーを出版する「木星社」について、お話をお聞きすることができました。
きよさんのこれまでの経歴や木星社の名前の由来、そして「ほんとうのランニング」「チャンピオンへの道」「アメリカを巡る旅」といった代表的な書籍について、内容や本を作るうえでの背景、エピソードなどをお聞きし、ひとつひとつの本に対する思いを感じることができました。
1960年代、70年代、海外のランニングやそれに関わる文化、社会的な背景、走ることの意味など、現代の自分たちにも大きく影響を受ける言葉が詰まっており、読むたびに学びや気づきがあります。ものすごく遠いところにあった話がこうして直接関わっている方から聞くことで身近に感じることができ、ニセコ、北海道のランニングの文化も深まっていく気がします。
ロングレースのはなし
Like the Wind、木星社の話をお聞きした後の質問コーナーでは、きよさんの出場した海外のトレイルレースやロングディスタンスのトレイルレースの質問が続きました。
海外の魅力的なレースやその特徴、長距離・長時間での補給のことや精神的な変化のことなど、質問は具体的になっていきました。今回のイベントできよさんのお話をお聞きし、参加者の皆さんが今にも走り出したくなるような雰囲気で、みなさんにとってのランニングがより深くなったように見えました。
コレクティブ・エフェクト
個人的にとても印象に残った言葉です。
集団効果。割れた窓ガラスを片付けることも、ひとりでやるよりもみんなでやることで意味ができる。ニセコは自然が身近にあってさまざまなアクティビティを楽しむことができる場所です。それも豊かな自然があってこそできることで、そもそもの自然が壊れてしまってはできません。身近な自然を楽しみながら守っていくことも大切になってきます。地域でランニングを楽しむ人、トレイルを楽しむ人たちがみんなで楽しむことで意味ができてくるものなのかもしれません。そのためにもこういったイベントのようにみんなが集まれる場というのも大切な気がします。
Good Morning Run
翌朝は6時半に再集合して朝のグループランを開催しました。
STRIDE LAB NISEKOが夏の間に開催しているGood Morning Runのコース、倶知安町の旭ヶ丘スキー場は雪に覆われ、走りにくい雪を踏みながらのスノーランニングとなりました。
前日はイベント後も話しがはずみ夜遅かったにも関わらず、ほぼ全員が朝ランに参加しました。
ランニングをしていない方も、本をきっかけに参加されたり、遠方からのランナーもニセコで地元のランナーと交流ができたり、ランニングはただ走るということだけではなく、会話が弾み笑顔になり、新しい世界を知ることができる、そんなことを雪の旭ヶ丘でみんなが走る光景を見ながら感じることができました。
一日とは思えない濃厚な時間を過ごし、あまりにも短い間にたくさんの言葉を聞いたり、出来事が起きたり、整理するのに時間がかかりそうです。
冬の間、なかなか外で思いっきり走ることができない北海道でLike the Windや木星社の本を読見返した時に今回のイベントを思い出し、少しずつトークで聞いたストーリーや言葉を自分の中に取り入れていくことになると思います。
貴重な時間をありがとうございました。
夏のニセコでみんなで一緒に走れる日を楽しみにしてます。
ゲストスピーカー藤代きよさんプロフィール
藤代きよ Kiyo Fujishiro
Like the Wind Magazine日本版・編集/発行人、木星社代表。スポーツ、旅、自然、アートをテーマに書籍、雑誌を出版している。刊行作品は『ほんとうのランニング』『チャンピオンへの道』『アメリカを巡る旅』『ニュー・ダイエット』『スタジアムの神と悪魔』など。メディアへの寄稿やポッドキャスト番組『Thursday– Vocalizing Emotions』『Like the Wind, News & Stories Podcast』も展開している。同社設立以前はコンデナストで『WIRED』日本版や『GQ』『VOGUE』に携わる。トレイルランナーとしてはUltra Trail Mt. Fujiや信越五岳トレイルランニングレース、Tarawera、TDSなどを走っている。
@mokusei222
@likethewind.jp
www.mokusei.pub
www.likethewindmagazine.jp
イベントにあたってのメッセージ
ランニングと読書は似ている気がしています。 走るスピードや本のページを繰る速さは人それぞれ、途中で気になることや感動するポイントもそれぞれです。それでも自分なりに一歩一歩進み、ひとことずつ読み進めていくと、いつのまにか新しい世界に入り込んでいくことができます。 身体と頭というふうに使う場所は違うのかもしれませんが、ランニングと読書はそんなふうに自分のなかではつながっていて、よく似た活動です。そして、そんなふうに進むことは生活の時間そのものをやりくりする知恵のようなものにもなることがあります(そして、やってて良かったと思うことがあります)。 パンデミックはここ最近で一番大変でしたが、何かしらのアップダウンはまた僕らの日々時間にはやってくるのだろうと思います。そんなときでも、走ることや読書で得られる知恵や、誰かとの結びつきがあればやっていけるんじゃないかと思います。 2021年2月に木星社を始めたときに、そんなふうな知恵や文化をそだてていく役に立てると良いなと思いました。といいつつ、色々な土地で皆さんにお会いして、実際は助けられてばかりですが…。 良い本をお届けできるようになるといいなと思います。ニセコでも色々な方にお会いできるのが楽しみです。
Yoshi
Sproutのオーナー
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