6月6日から9日、3泊4日で岩内から伊達、日本海から太平洋までを歩きました。

初日が過酷すぎた

1日目は岩内岳からニセコオートルートを通り五色温泉まで。
雪渓、沼、ガレ場、藪漕ぎ、雨、初日からかなりワイルドな状況で迎えられました。

濡れ対策やレイヤリング、さまざまな路面での歩き方、あらゆるシチュエーションがギュッと詰まっていました。ただでさえハードなコンディションに路面の悪さが加わり、なかなか思うような速さでは進みませんでした。

時間が刻々と過ぎ、陽が傾いてくるにつれ、誰が言葉を発するでもなく共通の心配事が浮かび上がりました。
「このままでは今日温泉に入れない」
そこからはひたすらペースを上げ、トレイルをロードに変更し、ひたすら走りました。

温泉の営業時間に間に合うかどうかの瀬戸際、走り、人の助けを借り、なんとか到着。
過去のHLCに参加してくれた地元ハイカーさんがテン場で待っていてくれて合流し、とても元気をもらいました。
営業時間には間に合いませんでしたが、快く入浴させてくれた五色温泉は、疲れ切ったカラダ、冷え切ったカラダには天国のような場所でした。

この日の夜からセクションハイクで1名が加わりました。

2日目は羊蹄山越えです。

五色温泉でリフレッシュしたものの疲労感は少し残ったまま。それでも夜から合流したメンバーも一緒ということもあって元気にスタート。

アンヌプリは早々にパス。アンヌプリを登ってバスで羊蹄山の向こうまでという案もあったけれど、やっぱり羊蹄山は登っておきたいね、ということで、倶知安町にあるSPROUTに登山口まで送ってもらい、羊蹄山を登りはじめました。

この日の羊蹄山はこれまでにないほどの好天。
前日の雨で空気が澄んでいて風も心地よく、山頂では下りたくなくなるほど。
ここまで穏やかな天候の羊蹄山は初めてかもしれません。

羊蹄山の上から眺めると、ここまで歩いてきたニセコの山々とこれから向かう洞爺湖や太平洋が見渡せました。
羊蹄山の上でしか見ることのできない景色を満喫して、快適なテン場に下山です。
夜は星もきれいで旅の山パートが終わった安堵感と疲労感で気持ちの良い夜となりました。

小屋開き前日ということで登山者との交流があったり、セクション参加のメンバーのおかげで元気に楽しい1日となりました。

3日目は洞爺湖、有珠山を越え、海の見えるところまで

羊蹄山を一緒に登ったセクション参加のハイカーさんとはここでお別れし、羊蹄山の麓のキャンプ場を出発しました。路線バスを利用して洞爺湖まで移動します。
バスの中では羊蹄山を見ながらこれまで歩いてきた道のりを振り返る良い時間となりました。

洞爺湖を眺めながら有珠山へ。
有珠山の上に着くとゴールの太平洋がすぐそこに見えます。
反対側には羊蹄山とニセコの山々が見え、ここが日本海から太平洋まで一つの道で繋がるエリアなんだということを感じることができます。

有珠山を下山するとこの旅の最後のテン場BACKWOODに到着。
ここまで来たらもうゴールは目と鼻の先。

BACKWOODさんは本とクラフトビールや自然酒を楽しめるお店でもあります。
ここでも地元のハイカーさんが夜から合流し、差し入れもいただき、最後の夜は美味しいお酒を飲みながら旅を振り返る宴となりました。

最終日、いよいよ太平洋へ。

昨晩合流した地元ハイカーに海までの道を案内してもらいながら歩きました。

歩いているだけではわからないこと、パンフレットにも載っていないようなこと、文化や暮らしを地元の人と一緒に歩くことで、その場所により愛着を感じられるようになりました。

ゴールの海はやっぱり感動。時間をかけた分人に出会ったり、ドラマもあったり、後からじわじわと旅の記憶が蘇ってきます。

ゴール後もまだまだ旅は終わらず、Camp&GoのキャンパーPYRAMやでHome Stay Artistとして展覧会をしたカザマナオミさんが出展しているイベント会場に立ち寄ったり、ニセコ町の有島記念館で開催されていた小助川裕康さんの展覧会を見に行ったり、歩き切った安堵感に浸りながらアートに触れて山旅の余韻を感じました。

歩き通して、このエリアは自然と人と暮らしの距離が近くておもしろいエリアだとつくづく思います。

セクション参加も含めた参加者のみなさん、
たくさん助けてくれた方々、
道中出会ったみなさん、
楽しい時間をありがとうございました。

日本海から太平洋まで繋いで思ったこと

羊蹄山は登らないと見えない景色があり、羊蹄山を登ったら次の日から羊蹄山を見る気持ちが変わる。
山の上から見るとエリアの境界はなく、通して歩くことで全てひとつで繋がっているのがよくわかる。
この二つをよく考えてみると、自分の見方次第で物事は大きく変わるということ。
コーヒーは自分たちが住んでいる場所から離れた地域で栽培されている。何も意識をしないで飲むとコーヒーはただの飲み物かもしれない。しかし、見えないいものを意識できるかどうかで、世界は大きく広がり、心が豊かになる。

グアテマラの生産者が遠く離れた日本で自分たちのコーヒーが喜ばれて飲んでくれていると思うと、もっともっとがんばりたいと思った。と言ったように、世界を広げる、視野を広げるということは、とても大切なことなのだ。