12月20日、スキーヤー下村雄太さんのトークイベント「264hours in Lyngen」が開催されました。
自分と向き合った246時間
-下村雄太-
今回の旅は久々の1人旅となりました。 20代は滑りたい。旅に出たい。という想いに素直に時に我武者羅に向き合ってきました。 コロナが明けて、しばらくぶりに1人で旅に出た今年の春。スキー&スノーボード、カメラを手に向き合った旅の時間は人生においてかけがえのない時間を過ごし、旅先での時間はまさに今の自分を見つめる時間でした。
264hours in Lyngenとは2024年の3月下旬〜4月上旬にかけてノルウェーをSki&Snowboardとカメラを手に一人で旅した時間。昨年に続き、今回で2回目となるノルウェー北部の旅は、現地のローカルと懐に入り、山と滑りと向き合う彼らと共に時間を過ごし、それは人生においてかけがえのない時間となったといいます。 「今回の旅に被写体としての自分はいない」 彼らと共に過ごす時間の中でレンズを向けた先に写るものとは。そして、人生初となるskiとsnowboardの両方で旅と向き合い感じた事とは。滑る事がライフスタイルの中心にある生活を過ごしてきた中で、滑る行為の先にあるものを旅の記録とともにZINEとしても発表しました。
自分だからできること
日頃から雄太くんとは旅について話をすることが多く、それは旅行記的な話だけではなく、旅をすることの意味、旅が暮らしにもたらすものといった深いところまでになることがあります。
今回は同じ時期にグアテマラのコーヒー農園訪問の旅をしたこともあり、話はより一層熱を帯びました。
食事や暮らし、街並みなどからグアテマラとノルウェーの違いを話し、お互いに何を考えたかをお話ししました。
グアテマラは決して生活が豊かな国とはいえません。自分で道路をつくったり、物を作って売ったり、仕事そのものが暮らしです。山を歩くことも、物資を運んだりする暮らしそのものです。自分は日頃からニセコで暮らしてスキーやカヤック、トレイルランニングをして遊ばせてもらっていて、グアテマラを訪れた際に感じた気持ちをどう伝えようかということを考えさせられました。
「自分だからできること」
それは人のおかげで楽しく暮らすことができているということ、それをちゃんと返すこと。
グアテマラの人がつくったコーヒーが遠く離れた雪が降る街で美味しく飲まれ、そのおかげで心も豊かになり、スキーをしたり山を歩いたり、豊かな暮らしができているということを、言葉で伝え、返さなければいけないと思いました。
一方ノルウェーでは寒くて夜が長いことから、ランプや部屋に絵を飾ったりと心を豊かにする工夫が随所にされているそうです。一見おしゃれで余裕のある暮らしに見えますが、確かに金銭的なゆとりはあるのかもしれませんが、心は何か必要なのかもしれません。スキーやスノーボードはノルウェーの人にとって心を豊かにする必要な道具のひとつなのかもしれません。生活するうえではたいへんな雪を楽しみに変えることは北海道でも同じことがいえます。
スキーを人生の中心として選んだ雄太くんにとっての、
「自分だからできること」
それはスキーの持つ可能性を人に伝えていくことでした。
スキーは心を豊かにしていくためのひとつのツール。スキーを通して人と出会い、興味が広がり、世界がつながっていく。
白紙の旅へ
トークイベントは入念に打ち合わせをしたものの、どうすれば雄太くんらしくく、雄太くんの伝えたいことが出せるのかを考えました。そこで出た答えは「白紙」ということでした。
前半にノルウェーのお話はするものの、後半は全て白紙です。
参加者のみなさんとの会話をし、そこから内容が発展していく。それはまさに予定を決めず、その場の流れで決めていくという雄太くんの旅のスタイルそのものでした。
アクシデントや反省点、改善点はあって当然といううえで、あえて無計画を実行する。
そんなトークイベントは展開が読めずドキドキするような空気感もあり、他にはないオリジナルなものでした。
お話の締めは雄太くんの旅のテーマについて。
「自分の衝動に誠実でいること」
これは簡単なようで難しく、しかし誰にでもできること。迷ってしまったとき、不安になったとき、そんなときは心を真っ白にして、自分の衝動に誠実でいること。それが何よりも自分らしく、「自分だからできること」になるのではないかと感じました。
衝動に誠実に突き進む雄太くんのこれからの展開がとても楽しみです。
次の白紙の旅へ。
お集まりいただいたみなさん、雄太くん、貴重な時間をありがとうございました。
Yoshi
Sproutのオーナー
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