10月8日から13日、札幌丸井今井大通本店の9階催事場にて、Sapporo珈琲マルシェ2025が開催されました。
第9回目となる催事は、日本のスペシャルコーヒーのトップクラスの店舗が集まり、国内のコーヒーの催事では一番と言っても過言ではありません。
SPROUTとしても毎年参加させていただき、大いに勉強させていただいています。
何を伝えるか
今回のコーヒー豆のラインナップは5種類のコーヒーでした。毎年秋に発売する「秋の夜長ブレンド」、定番の「Niseko Haute Route」といった2種類のブレンドコーヒー。そしてシングルオリジンでは、グアテマラのカップ・オブ・エクセレンス2位に輝いたPlan de La Vega、コスタリカPURA VIDAのジューシーナチュラルプロセス、BRUMASのイエローハニープロセス。

伝えたかったことは生産者のストーリーでした。実際に訪れ交流した生産者さん。たいへんな作業や試行錯誤しながらのコーヒー栽培、一緒にご飯を食べたり交流して過ごした時間。やはり想いも強くあり、生産者のストーリーを伝えることがやるべきことだとも思っていました。

今年度のSPROUTのテーマとして「場数を踏む」として、このマルシェの時期までにたくさんの出店をしてきました。自分たちが伝えたいことをたくさんの人に伝えることができたし、搬出入やセッティングなどの作業も慣れ効率よくもなりました。
しかし、よく考えてみるとその目線は「自分たちのことしか考えてなかった」のではと感じました。作業の効率が良くなり、説明も上手になり、あらゆる無駄がなくなったけれど、「お客様が何を求めているのか、どんなものがあったら喜ぶか」を考えられていなかったと振り返ると感じます。

コーヒーを飲む人の目線
期間中は毎朝同じカフェに行って朝食をとってコーヒーを飲みました。
「なぜ毎朝この場所を選ぶのだろうか」と考えると、そこにヒントがあるような気がしました。
それは居心地の良さ。
活気があって、美味しいコーヒーや軽食があって、しっかりこだわりを持って取り組んでいる。
それでも押し付けがましくなく、寄り添った接客をしてくれる。

SPROUTのテーマは「自然と暮らしをコーヒーでつなぐ」として、「得意なことで誰かに喜んでもらう」ということが働くみんなのミッションです。
みんなそれぞれがさまざまな分野で本気で取り組んでいる。しかし、お店はそのこだわりを押し付ける場所ではないということ。想いを伝える場所ではないということを感じました。
あくまでもお客様が居心地の良い場所、楽しく感じる場所なのです。
催事で想いの方が強くなってしまい、倶知安のSPROUTでいつもみんながやってくれていることを伝えることができませんでした。

お客様にとっては、そのお店が大切にしていること、熱い想いは、商品やお店の空間など、雰囲気から「伝わるもの」であって、「伝えられるもの」ではない。
たくさんの出店で場数を踏んで、伝えたい想いだけが大きく膨らんで、大切なことが見えなくなっていました。

自分のことよりみんなのこと
反省点の方が大きかったものの、その中でも忙しい出店ラッシュを終え、SPROUTにとって良かったことはスタッフみんなが「自分のことよりみんなのことを優先していたこと」でした。
準備や片付けではみんなそれぞれが自分の業務だけでも忙しい中、出店の準備や片付け作業に取り掛かってくれたり、出店スタッフも自分のことは一切話さずにお店のみんなのことと生産者さんたちのことを丁寧に伝えていた姿を見て、みんなが自分のことではなくて見えないところで支えてくれている人のことを考えていることがとても嬉しく思いました。

また商品を説明することでは一人一人に丁寧に伝えるということは、しっかりできていたように思いました。
どんなに忙しくても、一人一人と会話をして、説明をしてから商品を手に取っていただく。生産者さんたち、お店の仲間たちが丁寧に取り掛かったものに対して、ちゃんと伝えてお渡しすることができました。
そのことは催事だけでなく、これからのお店に必ずつながっていくと思っています。

毎回のように学びの多いSapporo珈琲マルシェですが、今回は特に反省点が多く、その反省点を重く受け止め、しっかり学びに変えるることが大切です。

Yoshi
Sproutのオーナー
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