快晴率は数%

1月2月の厳冬期、倶知安・ニセコは毎日雪が降り続き、太陽が顔を出すことはほとんどありません。
あるデータでは快晴というのはほぼなく、曇りか本曇りというのが平均して80%といわれています。

朝の5時に登山口に待ち合わせをして登り出します。
快晴。無風。

晴れた日は放射冷却もあり気温がとても下がります。
肌間ではその気温のピークは日の出前後が一番低く感じます。
薄暗く寒い森の中を歩き、少し上がって小さな尾根の上に出るとちょうど太陽の光が差し込みました。
気温が低くても太陽の光はとても暖かく、動くと暑くなるほどです。

この日は風も弱く空気が澄んでいたので、森林限界に近づいて振り返ると洞爺湖や有珠山、狩場山、噴火湾がくっきり見え、遠くは海の向こう側の函館駒ヶ岳まで見渡すことができました。

森林限界を超えて、標高1500mほどの岩稜地帯に入るとスキーを外し、アイゼンを装着します。
厳冬期のほとんどは硬い氷に覆われアイゼンもでの登坂も慎重に行かなければなりませんが、この日は格別。程よく雪がついた状態で標高差300mほどを安心感を持って登坂することができました。

標高1800mを超えるといよいよ羊蹄山の稜線に出ます。
お鉢も一望できる、ここでしか見ることのできない景色は富士山のような形をした単独峰のため、360°の大パノラマの絶景です。

登る時間が早かったため、お鉢も滑走しました。
極上の雪を堪能し、まるで宇宙のどこかの星に降りてきたかのような気持ちです。

周りの全てを山に囲まれてコーヒーを飲み、お鉢を登り返して下山します。
下山ももちろんスキー滑降なので4時間かかった登りも45分ほどで下山できてしまいます。

快晴率が20%以下であるうえに、雪の状態や風天気といった山の条件、そして仕事や家族、除雪などといった暮らしの条件も合わせると、快晴の日に羊蹄山の山頂まで上がるということは、そうそうあることではありません。
しかし、僕らこの地に暮らし、山や自然と向き合っている者は常に「その日その時その場所で何をするか」を思い浮かべて暮らしています。
そして、その思いがあるからこそ厳しい自然の中での暮らしを楽しむことができ、一日一日を大切にしていく気持ちになることができます。