2021年9月24日から10月3日、倶知安町在住のオーストラリア出身の写真家Conor Acuttの自身初の写真展が開催されました。
写真展のタイトルは「GARDEN」。

日々の何気なく通り過ぎていく風景を切り取った作品は、ひとつひとつの儚くも感動的なシーンの集まりであり、そこには忙しい日常を送り、当たり前のように感じることさえも忘れてしまった心に、懐かしさや落ち着き、そして活力さえも感じます。
そこに「GARDEN」というタイトルをつけたのは、被写体である日光や水、土、植物といった自然を、そこに暮らす人々の支え合う姿に重ね合わせ、厳しい自然の中でも惑わされずに形作る力強さやたくましさといった姿を感じとる、作家のまっすぐな姿勢が表れています。

開催中は多くの人が作家の初の写真展開催を祝して訪れました。
その様子は「GARDEN」というタイトルの作品そのもので、年齢や国籍問わずさまざまな環境の中でも支え合って成長する大切な人々が織りなす世界がありました。

作家からのことば

グリーンシーズン、倶知安町にある私の家の周りの農地は目まぐるしい成長を遂げているのがわかります。
特別豪雪地帯と呼ばれるこの極寒の地で、日光、雨、土壌の自然本来の力、そして生産者の思いやりと手を借りて命を育んでいるのがわかります。
平坦な農地から、やがて蕎麦、米、芋、小麦、大麦などの作物が空に向かって精一杯芽を出すスピードは驚異的です。
私はジョギングやサイクリングの際に景色が徐々に変化し、農作物がにわかに実る様子を何ヶ月もかけて観察しています。

倶知安町で暮らしたこの3年間で、この生態系は野菜や果物など農作物の栽培だけに適しているのではなく、この地に暮らす人々の成長をも促していることに気づかされました。
この地区、ひいては北海道は、人間の成長に必要な要素を全て備えているように思います。感動的なまでの自然の風景はもちろんのこと、大切にされる文化や伝統、何より重要なのは、思いやりを持って助け合う同志達で成り立つコミュニティの存在です。
この「ガーデン」展を介して、この地域と、この地に惹かれた、優しくも想像力に溢れる皆さんを讃えたいと思います。

Conor Acutt
オーストラリア ブリスベン出身
旅の記録として20代半ばより写真を撮り始める。
2018年来日。
来日してからカメラを片手に倶知安町近隣の山々を撮影することに没頭するようになる。
自然の中での撮影が彼の写真を発展させるきっかけとなる。
やがて北海道の美しい自然の写真を友人や遠く離れた家族にブログにて発信し始める。
またその活動の中で、同様にニセコエリアをホームと呼ぶ同志からのインスピレーションや励ましに助けられ、最終的に彼の第二の故郷、倶知安町とそこに住まう人々への贈り物として、「ガーデン」という初めての写真展創設へと繋がっていく。