賑やかな笑い声が響くギャラリー
3月後半になりCamp&Goから楽しそうな笑い声が響いています。
賑やかな声の発信源はWhiteWallRoomで3月15日から4月3日まで開催されている辻原さんの個展「Toboggan March」。
作品の展示に加え、似顔絵も描いてもらうことができます。
辻原さんの今回の展覧会の作品のテーマは「キミョカワ」といいます。「奇妙」で「かわいい」何とも味があり、男性も女性も、大人も子供も、どんな人でも辻原さんの手にかかればキミョカワになるのです。
いろいろやって楽しいのはこれ
展覧会の開催中いつも楽しそうに絵を描いている辻原さんですが、ずっと描いていた絵が描けなかった時期もあるといいます。
「栃木県出身で、高校卒業してから現在に至るまでずっと絵を描き続けていたんですけど、唯一描けなかった期間があって、それがサラリーマン時代。すごくサラリーマンを頑張った時代があったんです。あらゆる仕事を自分で抱えて結局潰れてしまって、そんな時にもともと僕が絵を描くことが好きだと知っていた妻が絵でやっていこうよって言ってくれて、療養期間中にニセコにも出会えて今こうして個展をやれているというのが僕のプロフィールです。厳しい環境に身を置かせてくれた周りの友達にも感謝ですし、危険を察知してくれてこっちの道を認めてくれた妻にも感謝です。」
「絵のテイストは行ったり来たりはあって写実的に描くこともありました。その方がニーズがあるのかなぁと思ったり、いくら変な絵を描いてもちゃんと描く方もできないとダメだと思って写実的な絵を描いたりもしたんですけど、結局いろいろやって楽しいのはこれだったんですよね。」
「もともと変な絵が好きなんです。そこに写実的な絵を描くことで光と影とかを学んで、それがミックスされたんです。だからデザイン的には子供が描きそうな絵だと思うんですけど、そこにキャラクターとして成り立っている存在感や立体感を加えるというのが、いろいろな経験を経て自分が一番描きたい絵になっていきました。」
タイトルは「Toboggan March」
「ペンギンが胸で雪の上を滑っていくじゃないですか、あれをTobogganっていうらしいんですけど、ペンギンが好きで、ペンギンはかわいいのに勇気のある行動をとる素晴らしい動物なんです。自分は食べられてもいいからという思いで最初に海に飛び込むファーストペンギンっていうのがいて、それが食べられなければ後に続いてみんな飛び込んでいって餌を貯めて、陸に上がって何日も歩いてコロニーに戻って子供たちに餌をあげる。そしたらお父さんとお母さんが入れ替わってまた何日もかけていくっていうのを数ヶ月繰り返して子供を育てるっていう、すごく逞しいという思いがあって好きになったんです。」
「Marchという言葉はつけたかったんですよ。3月に展覧会を開催するというのもあったんですけど、みんなで行進していくっていうイメージもあって、Tobogganのように這いつくばって地に足つけて、ゆっくりだけど滑っていく、みんなで行進するというのでToboggan Marchというタイトルが決まりました。」
「この展覧会の作品は全部開催が決まってから描き溜めたものです。だから全部この地に紐づいている作品です。もともと動物が好きで、自分の生き方みたいなものを動物たちによって表現したいという思いがあって、一枚一枚の説明書きはストーリー仕立てになっていて、何か目標を探している人とか、目標を見つけて今走り出したところとか、悩んでいて今後どうしようとか、人それぞれの段階があると思うんですけど、その段階のどこかに刺さるテーマと文章を考えて展示してます。」
住むところってどうやって決めるんでしょうね
「この展覧会が終わったら栃木に帰って、ペンキ屋さんとコラボして壁画を描くということをやっていきます。ニセコで壁画も描いてみたいです。」
「口コミも広げてもらえたり、フライヤーを見たりとか、コミュニティの広がりを感じることができたと思っています。ここは倶知安・ニセコでの活動を止めるわけにはいかないと思っていて、体は栃木に戻りますけど、デザインやグッズなど、自分だけの表現じゃなくて地元の人の意見を自分を通して作品をつくることで表現したいです。」
辻原さんは展覧会の開催が決まってから約1年近く。何も伝手がない中、似顔絵や雪像づくりなど地域の人に喜んでもらいたいという思いでさまざまな活動を行っていました。展覧会のプロモーションのためという活動は、時が経つと辻原さんのコミュニティづくりにつながっていました。
1年間かけてつくったコミュニティは展覧会に活気をもたらせ、これまでCamp&Goに来たことがない方がたくさん訪れました。また展覧会開催中も作品や似顔絵でたくさんの人を喜ばせ、そのコミュニティはますます広がっていき、Camp&Go全体に活気が生まれました。
「ようこそ」と言われていたところから「おかえり」と言われるようになり、辻原さんが次にニセコにきた時には、訪れた人に「ようこそ」「おかえり」と言っている姿が想像できます。
「住むところってどうやって決めるんでしょうね」と言っていた辻原さんは、準備も含めた展覧会を通してすでにベースができあがっているようにみえます。
今後もニセコでもたくさんの作品が新たに生まれ、さまざまな場所で辻原さんの作品を見ることができることを楽しみにしています。
素晴らしい空間をありがとうございます。
Yoshi
Sproutのオーナー
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