衝動的な行動

本を読むことが好きで、これまでたくさんの本を読んできましたが、その中でも自分の歩む方向性を決定づけるほど影響を受けた方はたくさんいますが、その中のひとりは理学博士の佐治晴夫先生です。
数年前に花巻にある宮沢賢治記念館へ行き、そこから宮沢賢治の世界観により引き込まれていき、これまで活動してきた山歩きやカヤック、スキーなど、さまざまな興味がリンクしていき、佐治先生の本に出会ったのは必然的なことでした。佐治先生は1/fゆらぎ理論や宇宙探査機ボイジャーにバッハの楽曲を搭載させたことで知られてますが、著書も多くあり、いつも佐治先生の本を読んでは宇宙目線で考える視点を与えていただいたり、時空を超えた観点を引き出させていただいてました。

ある日、夜中に佐治先生の本を読んでいた時に、ふと佐治先生が北海道のどこかの天文台に携わっていたような…、と思い検索してみると美瑛町にある「美宙天文台」であることがわかりました。
翌朝、気がつくと出発の準備をはじめ、家族を連れて美瑛町へ出発していました。
大切なものを見せたいという、何かしらのメッセージがあったのかもしれません。
とにかく何も考えずに、美瑛の天文台に行き先を決めて出発していました。その後のことも他のことは何も考えられず、ただただ行くことが必要だったように飛び出しました。

目に見えない大切なもの

美瑛町の「美宙天文台」にはちょうどお昼頃に到着しました。
昼間に天文台に着いたので星を見ることはできないけれど、夜のための下見だと思って見学してみようと中に入りました。
係の人が案内してくださり、さらに昼間でも望遠鏡を覗かせてもらえるということでした。
天文台に上がり、大きな望遠鏡から見ることができたのは、太陽、金星、そして星でした。
太陽は真っ赤な丸い球体で、その赤い光は人間が反応しているからの色だということ。
金星は地球から一番近い惑星。惑星わ自ら光っているのではなく、太陽の光を反射して届いてくる光だということを、係の方から子供たちにもわかるような説明で教えていただきました。
そしてその観察会の最後に見たのが「昼間の星」。
地球の風に揺られ、線香花火のように輝いている、「光」と「ゆらぎ」の形を実際に自分の目で見た感覚がありました。自ら光を放つ星が昼間の青空の中にもあるということ。
普段自分たちの目では太陽の光で見ることができず、空は大きな青空として見ています。しかし実際には落ち着いた光の惑星や線香花火のように光る星たちで溢れていました。

「目に見えない大切なもの」を実際に見ることができた。そんな実感が確かにありました。

見えない力

天文台から下りるとそこにいらっしゃったのはなんと佐治晴夫先生でした。
これまでの自分の心の分岐点にはいつも佐治先生の言葉があり、その言葉にどれだけ勇気と元気をいただき、力も与えられたかわかりません。
そのご本人が目に前におり、たくさんのお話を聞かせてくれたことは、これからの宝物であり、また、子供たちにとっても、いつか思い出すかけがえのない時間であってほしいと思いました。

たくさん伺ったお話の中から、「未来が過去をつくる」ということについて。
「あの時こうしていれば」と過去に捉われてしまうのは、過去・現在・未来の順番で捉えているため。
しかし「過去」だと思っていることは、現在の中に過去として残っている「記憶」でしかない。
「未来」の自分がどうなっているかで、「過去」は変わるもの。
「あの時こうしていれば」は「あの時こうしたから」という捉え方に変わる。
つまりは「未来が過去をつくる」。
そしてその「未来」を変えることができるのは「現在の自分」だということ。

偶然にお会いしお話しすることができ、たくさんの言葉をいただき、その一つ一つが胸に刻まれました。

信じる勇気を持つ

昼間の天文台を後にし、富良野や美瑛の街を観光しました。
そして夜は丘の上で満点の星空を見ました。偶然にもこの日はペルセウス座流星群がピークを迎える日。見渡す限りの星空に無数に流れる星を見たら宇宙を感じずにはいられませんでした。

翌日は天気を見て名寄に移動。名寄では北海道で一番大きな望遠鏡があり、月の表面がくっきりと見えたり、土星の輪をはっきりと見ることもできました。

見えないものを見る
ひとつのものを見つめる
限りない中の限られた大きさを知る

空を観察する旅は、目には見えない、自分たちの力ではどうすることもできない、不思議な力に導かれた旅となりました。
これから先に出会う人々、ご縁があったこと、もの、ひとつひとつのことに偶然はないということ。どんなに些細なことでも、謙虚な気持ちとまっすぐな気持ちを持って行動していくことで、自然と流れになって、想像もしていなかったことに出会えたり、ご縁が巡ってくる。
そのことを信じる勇気をもらえた旅でもありました。

時空を超えた旅をありがとうございました。