2024年12月15日でSPROUTは15周年を迎えました。
多くの方々に支えられ、本当にありがとうございます。
Speaker Camp
14日は15周年を記念して、Speaker Campを開催し、ゲストスピーカーに長年スペシャルティコーヒーに携わり、SPROUTが頼りにしてきた横井 力さんをお招きしました。
2009年のSPROUT開業時にコーヒーについて最初に相談させていただいたのが横井さんで、エスプレッソマシンから器具、必要な備品、抽出方法などコーヒーについて一から教えていただき、開店当初は横井さんが焙煎したコーヒーをお店で提供させていただいていました。2017年からSPROUTで焙煎を開始するようになり、生豆のことやコーヒー豆の品質、焙煎のこと、コーヒーについてたくさんのことを学ばせていただきSPROUTは現在に至ります。
お話しいただいたテーマは「おいしいコーヒーとは」。
横井さんのコメント
「海の向こうの遙か彼方、山の奥の奥で生まれたコーヒーチェリーは、生産処理を終えて長い航海をへて焙煎人の手許に届きます。
ここでもう一つの新たな命が吹き込まれます。
アルコール類やペットボトル入りの嗜好飲料は、完成品が店頭に並びますが、コーヒーを愉しむためには、粉砕、抽出の工程を経て一杯のコーヒーとして「完成」を見るのです。
そこに一杯のコーヒーを愉しむ醍醐味があると思います。」
横井さんはおいしいコーヒーの背景についてお話ししてくださいました。
15周年ブレンド
15周年を記念してブレンドコーヒーをつくりました。
15周年にふさわしいブレンドコーヒーをつくるに当たってどんなコンセプトにしようか悩みましたが、考え行き着いた答えは「人のつながり」でした。
2009年に「自分たちのお店」としてはじめたSPROUTは、たくさんの人との出会いとつながりがあり、15年が経ち「みんなのお店」となっていることに気がつきました。お店を持つことも初めてで、コーヒーに関しても未経験に近かったけれど、15年間自分たちが自信を持って言えることは「正直」でいたことです。訪れてくれるみなさんに、できないこと、勉強中だということ、よく見せようとせず、ウソやごまかしもありませんでした。不器用ながらもひとつひとつのことに一生懸命で、だから15年間はあっという間だったし、振り返ってみても一日一日が必死すぎて思い出すことがなかなかたいへんです。
それでも丁寧に水をあげ続けた新芽は、今ではほとんど自分たちの力で栄養を吸収し成長していくようになりました。
15周年のブレンドコーヒーは、グアテマラで一緒にビールを飲んだアレックスさんのアルタミラ農園、ゲストスピーカーの横井さんとも古くから親交があり、SCAJでお会いしたコスタリカのファンラモンさんのコーヒー、カフェのオープニングのお手伝いをさせていただいた東川のYAMAtuneと縁のあるインドネシアのコーヒー、2019年に原宿VACANTでのイベントで初めて生産者の人とお会いしたホンジュラスのマリサベルさんのコーヒー。
SPROUTが支えていただいたご縁をコーヒーでつないでみました。
味わいやフレーバーからのアプローチではなく、人のご縁からつくってみたブレンドコーヒーはとてもバランスが良く、しっかりとしながらもきれいな後味の余韻が長く残る、今年1年を象徴するような印象になりました。
クリーンカップ
横井さんのお話の締めくくりは、「コーヒーのおいしさは人のチカラ」ということでした。
ワインのテイスティングのようにコーヒーの味わいをみることをカッピングといいますが、そのチェック項目の中にクリーンカップという項目があります。クリーンカップとはコーヒーのきれいさのこと。きれいさというのは生産地での収穫から生産処理、運送、保管、焙煎、抽出といったコーヒーがカップに注がれるまでの全ての工程が表れます。一杯のコーヒーに関わる一人一人が正直にウソやごまかしなく、誠実に携わることで表れるものです。
きれいなコーヒーはフレーバーも甘さも酸味も引き立ちます。
クリーンカップはコーヒーのおいしさの前提にあり、一人一人の誠実さが表れるクリーンカップは人のチカラということになります。
コーヒーのおいしさとお店に流れる空気は共通します。
SPROUTを続け、悩んだり考え込んだりしながらも、ひとつひとつに誠実に取り組むこと。クリーンカップの大切さは忘れずにいたいものです。
大切に水をあげ一生懸命育てた新芽(SPROUT)は、もう自分たちで栄養を取り込める立派な木になっています。
そこからタネを飛ばしてまた違う場所に新しい芽が生えはじめます。それぞれの芽がまた育ち、豊かな森になることを願って。
これからの「みんなののSPROUT」を大切にしていきたいと思います。
Yoshi
Sproutのオーナー